お役立ち

「自治体でアンケートを実施したいが、どう活かせばいいのか分からない…」
「とりあえず実施しているけれど、意味のある声が取れている気がしない…」
「若い世代や子育て世代の声が、なかなか集まらない…」
そんな悩みをよく耳にします。
総合計画の策定や公共施設の見直し、新しいサービスの検討など、住民の声を聞く機会は年々増えています。
そのため、アンケートやニーズ調査を実施すること自体は決まっていて、「やるべきことなので実施している」という感覚の担当者の方も多いのではないでしょうか。
一方で、時間と手間をかけて行っても、統計的な数字や当たりさわりのない回答ばかりで、集計して報告書にまとめたところで終わってしまう、という声も聞かれます。
また、回収率が思うように上がらない、回答が一部の世代に偏ってしまう、形式的な回答が多くて本音が見えない、といった悩みもよく聞きます。
こうした悩みは、アンケートの実施方法だけでなく、声をどう集めてどう活かすかまで含めて考えることで、少しずつ解消していけるはずです。
この記事では、自治体アンケートの目的とつまずきやすいポイント、そして実際に住民の声をまちづくりに活かした各地の活用事例を整理しました。
自治体の担当者の方はもちろん、まちづくり会社やエリアマネジメントのご担当者にも参考にしていただける内容です。
ぜひ、最後までご覧ください。

自治体が行うアンケートの大きな目的は、住民が暮らしの中で感じていることや、まちに求めていることを知ることです。
道路や公園、交通、子育て、防災など、まちの課題は多岐にわたります。
担当者の経験や感覚だけでは、住民の実感とずれてしまうことがあるかもしれません。
住民アンケートを行うことで、どんな場所で困っているのか、どんなことを期待しているのかを、住民の言葉で確かめることができます。
こうして集めた声を、計画づくりや取り組みの見直しに反映させていくことが、住民に寄り添ったまちづくりの第一歩になります。
アンケートには、もうひとつ大切な役割があります。
それは、取り組みの内容や優先順位を、庁内や関係者に説明するための根拠になることです。
新しい施策や予算を検討するときには、「なぜそれが必要なのか」を説明する場面が欠かせません。
そんなとき、住民の声という裏づけがあれば、関係者の理解も得やすくなるはずです。
住民の声は、まちづくりを前に進めるための大切な材料だと言えます。

自治体アンケートは、多くの担当者が同じような壁にぶつかりやすい取り組みでもあります。
ここでは、よくあるつまずきポイントと、その考え方のヒントをまとめます。
紙でもWebでも、回収率が年々下がってきていると感じる担当者は多いようです。
住民は、忙しくて手が回らない、自分には関係ないと感じる、何のために聞かれているのか分からない、などの気持ちが重なって、回答まで至らないことが背景にあるのかもしれません。
「何のために聞いているのか」と「集めた声をどう活かすのか」を最初に伝えることは、協力してもらうための大切な工夫です。
あわせて、住民が普段目にする場所で知らせたり、気軽に声を寄せられる方法を用意したりすることも、回収率を上げるヒントになります。
まちづくりのアンケートでは、回答が高齢の方に偏りやすいという声をよく聞きます。
とくに20代〜30代は、仕事や育児で時間に余裕がなく、郵送の書類を開く習慣もあまりないため、声が届きにくい傾向があります。
もっとも声を聞きたい世代の声が届きにくいことは、多くの担当者の共通の悩みです。
若い世代や子育て世代の声を集めるには、普段使っているスマートフォンなどから、短い時間で負担なく伝えられる入口を用意することが大切だと考えられます。
回答は集まったけれど、どこか形式的で、住民の本当の気持ちが見えてこないという悩みもあります。
決められた項目ごとに点数で答える形では、「なんとなく不便」「なんとなく行きたくない」といった、うまく言葉にならない気持ちが拾いにくいことがあります。
そうした気持ちの中に、担当者が想定していなかった課題や期待が隠れているのかもしれません。
住民が自分の言葉で、身構えずに気持ちを伝えられるかどうかが、本音に近づくための分かれ目になります。
もうひとつ、多くの担当者が悩むのが、集めたあとの活用です。
集計して報告書にまとめたところで満足してしまい、具体的な取り組みにつながらなかったり、回答してくれた住民に何も返せなかったりすることもあります。
聞きっぱなしにせず、声を活かした結果を住民に返すところまでが、アンケートの一連の流れです。
声が届いたと実感できれば、住民は「また伝えてみよう」と思いやすくなります。

こうした悩みに向き合うため、私たちホンネPOSTでは、住民の方が気軽に本音を伝えられる入口づくりに取り組んでいます。
ここでは、その考え方を簡単にご紹介します。
従来のアンケートは、「答えなければいけないもの」と感じて身構えてしまう方も少なくありません。
そこで私たちは、住民が自分の気持ちを、自分の言葉で、気軽に伝えられる入口を大切にしています。
決まった形に当てはめるのではなく、思ったことを自由に書いてもらえるようにすることで、形式的な回答では見えにくかった声が集まりやすくなると考えています。
住民が本音を伝えるうえでは、匿名で安心して伝えられることも大切です。
自治体に直接意見を伝えるのは少しハードルが高い、という方でも、匿名であれば気持ちを寄せやすくなります。
さらに、伝えた声に対して反応が返ってくると、「自分の声が届いている」と実感できます。
こうしたやりとりが続くことで、声を寄せてくれる住民が増えていく可能性があります。
声が集まっても、読み込んで整理する作業に時間がかかってしまっては、なかなか次の取り組みにつなげられません。
そこで、集まった声を担当者が活かしやすい形にまとめられるようにすることも大切にしています。
声を集めることだけでなく、その声をまちづくりの意思決定や取り組みにつなげることまで見据えて、自治体の皆さまと一緒に進めています。
ここからは、実際にホンネPOSTを導入いただいた事例を紹介します。

神戸市の企画調整局政策課では、30年ぶりの基本構想の改定を含む総合基本計画の策定にあたり、若い世代の意見を集めたいと考えていました。
しかし、市政に関心の薄い若者へのアプローチ方法が少ないことが課題でした。
そこで、「Urban Innovation KOBE」の取り組みとして約4か月間の実証実験を行い、自由記述で気軽に意見を伝えられる形で声を募りました。
結果として、約1か月半で200件を超える声が集まりました。
1件あたりの平均は162文字、最大では1,244文字という長い声も寄せられています。
とくに注目したいのは、投稿の約70%が学生から30代以下の若い世代だったという点です。
従来のアンケートでは接点を持ちにくかった層から、本音に近い声が届いたことになります。
この事例から見えてくるのは、若い世代に声を届けてもらうには、伝えやすい入口が欠かせないということです。
また、声を集めたあとも、やりとりを続けられる仕組みがあることで、継続的な双方向の対話につなげられます。
神戸市では、今後の計画策定の次の段階でさらに意見を深掘りしたり、イベントの効果測定や他の施策で活用したりすることも期待されています。
一度きりの意見募集で終わらせず、声を集めながら計画づくりに活かしていく姿勢が参考になります。
神戸市の事例について、詳しくはこちらの記事でご紹介していますので、あわせてご覧ください。

岡山市の都市整備局庭園都市推進課では、設置から30年以上が経った浦安総合公園の大型遊具をリニューアルするにあたり、市民の声を集めたいと考えていました。
従来のアンケートでは、選択肢から選ぶ形が中心で、「なぜそう思うのか」という理由までは分かりにくいという課題がありました。
また、行政側の仮説に沿った聞き方になってしまう心配や、まだ表に出ていない「隠れた声」を把握しきれていないという思いもあったそうです。
そこで約4か月間、市民が自発的に声を寄せられる形で意見を募集しました。
その結果、698件もの声が集まっています。
平均は97文字、最大では1,026文字という、具体的な声も寄せられました。
注目したいのは、従来の紙のアンケートが2か月で数十件だったことに比べて、大幅に声が増えた点です。
市民からは前向きなリクエストが多く届き、基本構想や設計案の意思決定もスムーズに進みました。
もうひとつ、見逃せない変化があります。
それは、寄せられた前向きな声によって、行政担当者のモチベーションが大きく高まったことです。
住民の声は、取り組みを決めるための材料であるだけでなく、担当者が自信を持って進めるための後押しにもなるのだと分かります。
「どんな公園にしたいか」という住民の思いが具体的に見えることで、担当者にとっても取り組みの意義が実感しやすくなったのではないでしょうか。
岡山市の事例について、詳しくはこちらの記事でご紹介していますので、あわせてご覧ください。

京浜急行電鉄は、2022年12月に大田区と結んだ公民連携協定に基づき、平和島駅周辺のまちづくりを進めています。
その中で、若年層や子育て世帯を含む地域住民の声を十分に集められていないことが課題でした。
また、これまでの調査方法では形式的な回答が多く、リアルな声を集めるのに苦戦していたそうです。
そこで、身構えずに気軽に意見を送れる方法として、ホンネPOSTを導入いただきました。
匿名で双方向のやりとりができる安心感も、住民に声を寄せてもらううえで大切にされています。
約4か月間で、505件の具体的な声が集まりました。
平均は108文字、最大は967文字で、合計では約54,000文字にもなっています。
さらに、全体の約85%が「プロジェクトへの参加」や「イベントへの参加」に関心を示したことも大きな成果です。
ハード面の要望だけでなく、まちへの期待などソフト面の声も見えてきました。
「個人個人の平和島に対する想いが詰まっている」と感じられる、リアルな声が集まったそうです。
集まった声は、社内での意思決定の根拠としても活かされました。
声という裏づけがあることで、社内での理解や承認がスムーズになったとのことです。
さらに、寄せられた声をもとに、駅前花壇の実証実験や、交通・子育てに関する取り組みの検討にも着手しています。
声を集めるだけで終わらせず、具体的な取り組みへ動き出している点が、住民参加のまちづくりの参考になります。
京浜急行電鉄の事例について、詳しくはこちらの記事でもご紹介していますので、あわせてご覧ください。
ここからは、自治体ではなく民間の事例ですが、交通や公共性の高い施設として、住民や利用者の声を活かしている取り組みを紹介します。
まちの暮らしに身近な場所での声の活かし方として、参考になる部分があるはずです。

名古屋鉄道は、中日ドラゴンズやファイティングイーグルス名古屋へのスポーツ協賛を行っています。
しかし、協賛がもたらす効果は、数字だけでは測りにくく、社内全体で価値を共有しきれていないという課題がありました。
そこで、試合会場でファンの声を集める取り組みを行いました。
2025年の中日ドラゴンズ冠試合に続いて、2026年のファイティングイーグルス名古屋の冠試合でも実施されています。
結果として、累計17,000文字を超える声が集まり、最大834文字という熱量の高いコメントも寄せられました。
生の声が加わることで、報告資料に「色や温度」が乗り、社内での合意形成がスムーズになったと評価されています。
他の部署やグループ会社への展開も検討されているそうです。
名古屋鉄道の事例について、詳しくはこちらの記事でもご紹介していますので、あわせてご覧ください。

道の駅とよはしは、年間約220万人が訪れる大きな施設です。
それまでは、フォームを使ったアンケートが「聞いて終わり」になりがちで、お客様が何に価値を感じているのかまで踏み込めていませんでした。
そこで、お客様が本音を書きやすい形で声を集め、店舗ごとの気づきを整理しました。
その結果、3つのお客様像が見えてきたそうです。
声から「選ぶ楽さ」が求められていると分かり、セット商品を展開したところ、直営店の1月から2月の月間売上が3倍近く伸びました。
特定のセット商品では、前年同月比で4倍(約280万円)の売上増を記録しています。
また、商品のサイズ目安を表示したことで、お客様が迷う時間も大きく減りました。
声を集めるだけでなく、現場の取り組みにすぐ反映できたことが、成果につながっています。
現場スタッフのモチベーション向上にもつながっているそうです。
道の駅とよはしの事例について、詳しくはこちらの記事でもご紹介していますので、あわせてご覧ください。

ここまで紹介してきた事例には、いくつか共通するポイントがあります。
あなたのまちで声を活かすときの考え方として、整理してみましょう。
どの事例も、何のために声を集めるのか、集めた声をどこで使うのかがはっきりしていました。
総合計画の策定、公園のリニューアル、駅周辺のまちづくり、商品の見直しなど、活かす場面が明確だったからこそ、声が具体的な取り組みにつながったのだと考えられます。
声を集めること自体を目的にせず、活かし先を先に決めておくことが、アンケートを成果につなげる基本です。
事例では、件数だけでなく、声の中身が意思決定を動かした場面が多くありました。
ただ数が集まるだけでなく、「なぜそう思うのか」「どんなことを期待しているのか」が分かる声だからこそ、計画や設計案の判断材料になります。
形式的な回答では見えにくい本音に近づくには、住民が自分の言葉で、気軽に伝えられる入口が欠かせないと言えます。
もうひとつの共通点は、声を寄せてくれた人とのやりとりを大切にしていることです。
声に反応が返ってくる、取り組みに活かされたことが伝わる。
そうした経験が積み重なることで、住民は「また伝えてみよう」と思いやすくなります。
聞いて、返して、また聞くという流れが続くことが、住民との信頼と、より良いまちづくりの土台になっていきます。

事例を見ると、大きな取り組みに見えるかもしれませんが、最初は小さな範囲から始めているケースも多くあります。
たとえば、ひとつの公園やひとつの駅周辺、ひとつの計画など、テーマを絞って声を集めてみるのもひとつの方法です。
小さく試しながら、声の集まり方や活かし方を確かめていくことで、無理なく広げていけるはずです。
うまくいった取り組みを、ほかの分野にも広げていくこともできます。
集めた声は、担当者だけで抱え込まず、庁内や関係者と共有することが大切です。
事例でも、住民の声を共有したことで、社内や関係部署での理解や承認がスムーズになった例がありました。
住民の声が共通の材料になると、関係者が同じ方向を向いて進めやすくなります。
また、声が担当者の励みになり、取り組みへの意欲が高まることもあるかもしれません。
まちづくりアンケートの基本的な進め方や、方法の選び方については、こちらの記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。


自治体アンケートは、住民の声をまちづくりに反映させ、取り組みを進める根拠にするための大切な手段です。
回収率や若い世代の声、形式的な回答、集めたあとの活用など、つまずきやすいポイントは多いものの、声の集め方と活かし方を見直すことで、少しずつ変えていけるはずです。
今回ご紹介した事例に共通していたのは、目的と活かし先を決めたうえで、住民が気軽に本音を伝えられる入口を用意していたことです。
そして、集まった声を意思決定や現場の取り組みにつなげ、声を届けてくれた人にも返していくことが、住民との信頼を育てていきます。
集めて終わりにせず、活かして、返して、また聞く。その循環をつくることが、住民の声をまちづくりにつなげるいちばんの近道だと言えます。
住民の声の引き出し方や、アンケートの活用の仕方がわからないとお悩みなら…
アンケートは、項目を並べるだけなら誰でも作れます。
しかし、選択肢の作り方一つ、質問の順番一つで、顧客の回答は簡単に偏ってしまいます。
また、本当に難しいのは「集まった回答をどう分析し、どう次の打ち手に活かすか」なのです。
「回答は集まったけれど、結局どこを改善すればいいか分からない……」
そんなアンケートの形骸化を防ぐために生まれたのが、私たちの顧客分析ツール『ホンネPOST』です。
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