岡山市の庭園都市推進課では、設置から30年以上が経過した「浦安総合公園」の船の大型遊具のリニューアルにあたり、市民の潜在的なニーズを収集・可視化するためにホンネPOSTを導入しました。これまでの行政のアンケート手法では見えてこなかった「埋もれている本当のニーズ」をどのようにすくい上げ、施策に活かしたのか。導入の背景や成果、そして今後の展望について、担当の松下さんにお話を伺いました。岡山市都市整備局 都市・交通部庭園都市推進課 公園緑地係松下 和朋さん課題・目的・従来の決められた項目の選択肢アンケートでは「なぜそう思うのか」という深い理由がわからず、仮説に沿った誘導になってしまう懸念があった。・多様なニーズや潜在的な「隠れた声」を網羅的に把握しきれていなかった。導入の決め手・フラットな状態で市民の「本音」を引き出せる今までにない仕組み。・高いデザイン性と、分析結果の見やすさ・わかりやすさ。効果・約4ヶ月で698件の具体的な声(平均97文字)が集まり、市民の熱量を実感。「良い声」も「悪い声」も根拠とともに可視化され、基本構想や設計案のスムーズな意思決定に貢献。・前向きな市民の声が届くことで、行政担当者のモチベーションが大きく向上。従来の市民アンケートの限界と、「埋もれている本当のニーズ」へのアプローチ―ホンネPOSTを導入する前、市民の声の収集においてどのような課題がありましたか? 公園の整備や再整備の計画にあたっては、これまでも地域の代表の方々へのヒアリングや利用者アンケートを実施してきました。しかし、従来のやり方では時間やコスト、アプローチ方法に限界があり、利用者の多様なニーズや潜在的な声、いわゆる「隠れた意見」を捉えきれていないという課題感は漠然とありました。また、従来のアンケートの多くは選択肢形式ですが、それだと「満足度はわかるけれど、なぜそう感じているのか?」という深い理由がわかりません。さらに言えば、選択肢を用意している時点で、行政側が考えた仮説の範囲内に回答を誘導してしまっているのではないか、という懸念もありました。今回、浦安総合公園の大型複合遊具をリニューアルするにあたり、どうしたら「届いていない本当のニーズ」を拾えるのか、ということをずっと考えていました。「伝えたくなる」デザインと、フラットに本音を引き出す仕組み―数ある手法の中で “ホンネPOSTを知った時の印象” や、導入の決め手を教えてください。 「スタートアップ企業」の方々とお仕事する機会がこれまでになく、正直最初は熱量に圧倒されるばかりでした。(笑)ただ、何社かご提案をいただいていた中で、ホンネPOSTはデザイン性が高く、率直に「今までにはないアプローチだ」と感じたのが決め手です。アンケートを収集する仕組み自体はどこにでもありますが、ホンネPOSTは市民が自発的に声を伝えてくれる仕掛けが特徴で、私たちが求めていた「本音を引き出す」という目的に非常にマッチしていました。 また、アンケートは取って終わりではなく、「その後どう活用するか」ということが最も重要です。その点でもホンネPOSTは、分析結果の出し方も見やすく、文字数の根拠などをしっかりまとめてもらえる点も魅力的でした。―ツールの導入プロセスや、はこぶんのサポートはいかがでしたか?行政の人間からすると、ITツールならではのカタカナ用語などに最初は聞き慣れず、考えてしまうことも多々ありましたが、基本的にはすべてリードして進めてくれたので、導入までのプロセスは非常にスムーズだった印象です。日頃お付き合いのある行政向けの業者さんとはアプローチが全然違って新鮮でしたし、何よりはこぶんメンバーの皆さんが親切で常に前向きにサポートしてくれたので、一緒に仕事をしていてとても楽しかったです。一人一人の投稿から感じる顧客の”リアリティ” 導入して2ヶ月の期間で694件、平均97文字、累計67,706文字の声が集まりました。―従来のハガキアンケートとの比較や、ホンネPOSTを導入したことでどのような成果や気づきが得られましたか?まず驚いたのは、集まった声の量と熱量です。従来の紙アンケートでは2ヶ月で数十件、手集計なので収集してもうまく活用できていませんでした。しかしホンネPOSTで収集してみると、目標を大きく上回る698件の声が集まりました。しかも、そのうちの7割は50文字以上、最大1,026文字の長文や、平均でも約100文字という具体的な長文のコメントばかり。アンケートではここまでの自由記述が集まることはまずないので、本当に驚きました。「市民の方々はこんなにも伝えたいと思うことがあったんだ」と気付かされましたし、問いかけ方や聞くタイミングなど戦略的に設計することでここまで成果が変わるんだなと。また、行政の仕事をしていると、どうしても市民からの反発が強かったり、万人受けする施策が難しくて担当者がしんどくなってすり減ってしまうこともあります。基本的にはマイナスの意見をもらうことが多く、「良い声」を直接聞く機会なんてなかなかありません。 しかしホンネPOSTでは、市民から「良い声」や「前向きなリクエスト」も多く届き、自分たちが進めている方向性への確証や根拠を持つことができました。何より担当者としてのモチベーションが大きく上がったことが本当に嬉しかったですね。【実際にホンネPOSTに寄せられた声:一部抜粋】私自身子供の頃から利用しており、今は2人の娘が生まれ、週に一度以上は必ず利用しています。(中略)もちろん友達の子どもの反応も「こんな遊具はじめて!おもしろい」と言ってくれます。 なので、リニューアルのポスターを見て、どうしてもお願いしたいことがあり、コメントをしています。浦安公園の遊具を、どこにでもあるものにするのではなく、「唯一無二」であり続けてほしいです。子どものワクワクする気持ちを守り続けてください。小さな時から自分が遊び、今は娘たちが遊んでいます。 (中略)私自身は、浦安のあの船の遊具が大好きです。思い出の場所です。親としては死角になる部分が多く不安を感じていました。(中略) 子どもが遊んで楽しいことと、親が安心して遊ばせられること、難しいかもしれませんが是非両立させて頂いて、我が子の時代よりグレードアップした遊具になってほしいと思います。 ―庁内の反応や、集まった市民の声が意思決定にどのように活かされたのか教えてください。従来のコンサルタントにお願いする調査では、途中集計が簡易的なものになりがちですが、ホンネPOSTのダッシュボードでは最新の「生の情報」をリアルタイムで見ることができました。庁内でも「こんなツールがあったらすごく良いよね」と好意的な反応が多かったです。また、検討会の中でもホンネPOSTの分析資料を展開しました。集まった複数のインサイトを、実際の基本構想のアンケート項目や、遊具の設計案の作成に具体的に反映させることができましたし、何より次の打ち手が判断しやすくなったのは大きな成果ですね。遊具リニューアルの先へ。市民と共創するこれからのまちづくり―最後に、今後の展望や新たにホンネPOSTを活用して挑戦してみたいことを教えてください。ある程度ボリュームのあるアンケートを実施している事業であれば、ぜひ今後も使ってみたいです。 公園の利用者はもちろんですが、例えば公園でイベントをやりたい人やキッチンカーの事業者、場を活用したい民間団体などに向けて、「どんなことができると良さそうか?」といった前向きなアイデア募集もしてみたい。また、あくまで私個人の考えにはなりますが、公園部局だけでなく他の分野でも活用できる可能性があるんじゃないかなと思っています。例えばですが、都市計画などのまちづくりや子育て支援、インフラ整備といった場面で市民の声を聞くのにも役立つかもしれません。観光の領域でも、移動中の観光客の方に答えてもらって、岡山市の隠れた魅力を発掘するような使い方ができたら面白そうだなと、いちユーザーとして想像を膨らませたりしています。本当に良いサービスなので、他の課や他の自治体にも「広まってほしい」と思いつつ、「自分たちだけが知っておきたい」という気持ちもありますね(笑)。これからも市民の生の声や確かなファクトを根拠に、魅力的なまちづくりを進めていきたいと思っています。―松下さん、ありがとうございました。 “市民の声” が、行政担当者の皆様の “原動力” に繋がったというお話は、私たちにとっても非常に嬉しい気づきでした。我々も、まちづくりにおいてまだまだホンネPOSTを活用いただける場面があると確信できたプロジェクトでしたので、岡山市さんのさらなる挑戦に広がっていくよう、引き続き全力でご支援させていただきます。最後までお読み頂き、ありがとうございました!ホンネPOSTの導入にご興味をお持ちいただいた方はこちらからお問い合わせください。