「大事にしてきたものは、間違ってなかった」─顧客の声から得た確信と、ライトファンと“一歩踏み込む関係“を築く、老舗カレー専門店の“次なる一手”
「大事にしてきたものは、間違ってなかった」─顧客の声から得た確信と、ライトファンと“一歩踏み込む関係“を築く、老舗カレー専門店の“次なる一手”
株式会社レストラン京王様

株式会社レストラン京王は、京王線沿線を中心に飲食事業を展開する京王グループのフードサービス企業です。1968年創業のカレー専門店「カレーショップC&C」を中心に、そば業態、カフェのフランチャイズ店舗などを運営するほか、社員食堂や給食施設の受託運営も含め、全業態で56店舗を手がけています。
駅ナカを中心とした立地と、スピード感ある提供を強みに、日常に寄り添う“おいしさと安心”を届けてきたレストラン京王。中でも主力ブランドであるカレーショップC&Cにおいて、近年急激に変化する外食市場のニーズに応えるため、直営店に「ホンネPOST」を導入。従来のハガキアンケートでは拾えなかったお客様の「ちょっとした声」を経営に役立つインサイトに変える、新たな取り組みがスタートしました。 本インタビューでは、導入までの流れや導入後の成果について、営業企画部長の平尾さんに直接お伺いしました。

株式会社レストラン京王
取締役 営業本部営業企画部長
平尾 純一さん
課題・目的 | ・多様な提供価値の中で「注力すべき核心」が絞りきれず、戦略判断に悩んでいた |
|---|---|
導入の決め手 | ・高いデザイン性、ストレスなく投稿できるシンプルなUIや問いの設計 |
効果 | ・投稿数が約20倍に増加。約7割のポジティブな声から選ばれる理由/価値が明確に |
―ホンネPOSTを導入する前、お客様理解や営業戦略への活用についてどのような課題がありましたか?
これまでC&Cでは、「店内設置のはがき」と「公式サイトの問い合わせメール」の2つの手段でお客様の声を取得していました。しかし、集まるのは月に10件前後。また、時間と手間をかけて声を寄せてくださる方は、強い不満の感情を持った方が中心で、投稿内容に対しては個別対応にとどまり、全体の営業戦略に活かすことは難しいのが実情でした。
C&Cの店舗は駅構内や改札付近など、通行量の多い立地が中心です。ファストフードという業態上、フルサービスの飲食店とは異なり「スピーディで手頃な商品を提供すること」が、これまで一貫して重視してきた提供価値の軸でした。
その価値はいまも変わらず大切にしていますが、近年では物価上昇の影響などもあり、1食あたりの価格が1,000円近くになる中で、“それだけでは満足されない”という空気感を、現場でも強く感じるようになってきました。ファストフードでも、スピードや手軽さに加え、“納得感のある体験価値”が求められる時代になってきている──そんな実感があります。
また、販促の面でもこれまでトッピング無料券の配布など手軽な施策を中心に行ってきましたが、実際にどれほど顧客に響いているのか?効果の実感は得づらいままでした。「新商品の投入頻度を上げるのはどうか?」など、様々な施策を検討してきましたが、結局のところ「お客様は、何を1番評価してくれているのか?」「どんな価値を感じて、何を求めているのか?」という問いに対する確信がハッキリと掴めず、「本当に注力すべき核心」が絞りきれない、ということが経営判断を悩ませる一番の課題でした。
―ホンネPOSTを知ったきっかけ、またサービス説明を聞いてどんな印象を持ちましたか?
「お客様のことをもっと知ろう」――。そう思ってはいたものの、実際に動き出すのは想像以上に難しいことでした。SNSやInstagramを活用したり、専用アプリや既存ツールを使った取り組みも検討はしていたものの、いざ社内で自分たちのやりたいことを企画・実行しようとすると、どうしてもハードルが高く、動き出せずに足踏みしてしまう状況が続いていました。
そんなとき、京王グループのオープンイノベーションプログラム「JISOU」の取り組みの中で、ホンネPOSTに出会いました。ちょっとしたお褒めの言葉や、離脱につながるちょっとした不満や提案など、まさに我々が求めていた「知りたいけど聞けなかった声」を自然と引き出してくれるという仕組みに魅力を感じたのです。

―ホンネPOSTを導入した決め手を教えてください。
C&Cは他のファストチェーンとは違い、店舗ごとに設備や立地に合わせて、メニューや販促の仕方、商品のお値段・サイズ感などを変えているんです。なので、C&Cのブランド全体ではなく店舗ごとのご意見や評価を詳しく知りたいという思いがありました。ホンネPOSTなら店舗ごとでの声を収集できるという点は決め手の一つでした。
また、QRコードを置いて意見を聞くという形はよくあるかもしれませんが、お客様が「言いたいこと」を気軽に伝えやすいような案内物のデザイン性やコピー表現、投稿画面のUIや問いも工夫をされていたり、行動経済学や心理学を踏まえた設計が、温度感あるフィードバック獲得につながっていくということも魅力的でした。確かにこれならストレスなく意見を投稿できる仕組みをつくれる、その「手軽さ」が大きなポイントでしたね。
―ツール導入時のプロセスはどのように進行しましたか?サポートの対応はいかがでしたか?
「なぜこれを導入するのか?」という“目的”の部分を、プロジェクトかかわるメンバー全体で認識合わせを行いました。単なるツール導入や、手順の説明ではなく、なんのために行っているのかという目的を丁寧に共有できたことが、社内への浸透に役立ったと感じています。
「クレームがたくさん届くのではないか」という不安の声もありましたが、ホンネPOSTではお客様から寄せられる声の大半がポジティブな内容という強みがあります。「C&Cのここが好き」といったポジティブな声からC&Cの価値を明確にするためのツールであることを説明し、「それなら試してみたい」という好意的な反応が多く集まりました。
店舗へシールを設置するだけで対応できるので、導入自体そこまで負荷はありませんでした。さらに、本部が現場へ説明を行う際の導入ガイドラインまで準備してくれたことで、目的はもちろん、例えばシールの貼り方ひとつとっても、なぜそう貼るのか?という理由がしっかり伝えることができ、「こんなにも考えて対応してくれている」「自分たちも丁寧に向き合おう」と、店舗側にも前向きな空気が生まれたのを感じました。
導入して1か月の期間で、早速全店舗で211件、平均文字数69文字、合計14,599文字の声が集まりました。
―従来のハガキアンケートと比較して、ホンネPOSTの投稿件数や内容の変化について、どのように感じられましたか?
導入後、店舗への投稿は従来のメールやハガキと比べて約20倍に増加しました。そして一番の違いは、メールやはがきのように形式的な文章ではなく、絵文字や話し言葉など個性があったり、読み手が共感しやすい内容も多く、顧客の声に”リアリティ”を感じられることです。期待していたお褒めの言葉など、ポジティブな声が全体の約70%を占めました。中には「何十年も通い続けています」といった長年のご愛顧を感じさせる声も数十件寄せられ、改めて多くのファンの存在を実感できたことが大きな収穫でした。
【実際にホンネPOSTに寄せられた声:原文まま】
ホールの外国人の女性の店員さんが挨拶も声がけもとても丁寧で、目を見て声をかけてくれて、気持ちよく利用出来ました。少し手があけばさりげなく常に周り気を配っていて、素晴らしいなと思いました。ありがとうございました!また利用したいです。(40代、女性、週1回程度来店)初めて、C&Cカレーを訪れました。
仕事終わりの疲れを癒しに飲み屋にでも行こうと思っていたところ、ふとカレーの文字が見え、入ってみると、心地よい音楽とカレーのいい香りが。三元豚カレーの大盛りとビールを注文。ビールの泡も完璧、カレーの辛さ、温度も完璧。久しぶりにこんなに美味しいカレー、いい時間をいただいた。美味しかったです。ありがとうございました。(20代、男性、初めて来店)
京王線沿線在住で40年食べ続けて来てます。いつも美味しいカレーをありがとうございます。美味い・安い・早い、これからもいつもの美味しいカレー、宜しくお願い致します。(50代、男性、不定期で来店)これまでは個別対応に終始してしまい、組織的な活用には至っていませんでしたが、ホンネPOST導入後は、店長会議の場などで各店舗での対応方法の共有や意見交換が積極的に行われるようになり、店舗改善が進む好循環が生まれています。
―顧客との関係強化や、次回来店を促す販促施策への効果は感じられましたか?
もともとは「お客様との関係性を強化したい」という強い想いがありました。これまでZeetle (ポイントカードアプリ) を利用してくれているお客様を「コアファン」と位置付けていましが、実はボリュームが大きいのは、Zeetleを使っていないものの定期的に来店してくださる熱量の高い“サイレントファン層”です。この層こそ、月1回を月2〜3回に伸ばすポテンシャルを秘めており、そのためには彼らの声を聞き、より一層ファンになってもらうためのコミュニケーションを築くことが欠かせません。ホンネPOSTは、これまで届きにくかったその層の声を可視化できるだけでなく、匿名のまま継続的にお返事のやり取りなどのコミュニケーションが取れるため、関係性づくりの新たなきっかけとなっています。
―改善に繋がった気づきや発見、施策のヒントに繋がった事例などがあれば教えてください。
創業50年以上の時が経ち伝統的な文化もあります。レシピの基本部分は大切に守ってきましたし、ファストフードとしての提供スピードやクオリティにもこだわりを持ってやってきましたが、今回、ホンネPOSTを通じて届いたお客様の声を聞き、「ああ、ちゃんと価値を感じてもらえていたんだ」と実感できたことで自信につながりました。
ただ一方で、「じゃあ、もっと良くするにはどうすれば?」という視点も芽生えてきました。劇的なホームランのような施策ではなく、「ちょっとしたストレスを取り除く」「期待されている体験・パフォーマンスを大事にする」といった、ファストフードを突き詰めた先で”本当に大切にできているだろうか?”と改めて意識することが増えています。
「水がぬるい」「箸が欲しい」「トレーが滑る」といった、具体的な温度感のある声が届くことで、現場の改善に直結する──そんな実感もあり、自分たちのイメージや想像から表層的な施策に頼るのではなく、価値源泉が色褪せないために大切にするべきことに向き合うようになりました。
―現場(店長・スタッフ)や本部との間で、情報共有や合意形成における変化、工夫している点などがありましたか?
”情報は加工せず、タイムリーに全階層で共有する” それが私たちの工夫です。
アルバイト、店長、そして本部でのそれぞれのコミュニケーション手段の一つにもなっており、今では「昨日のホンネPOSTについてさ、」という会話が、定例の日常のやり取りの中にも自然に入り始めています。
例えば、新商品の反応をホンネPOSTの声から確認したり、巡回時の視点が変わってきたり──。店長が不在時でも、アルバイトスタッフとのコミュニケーションのきっかけになったり、副次的な効果も出ています。
また、「スタッフに強く言いにくい」と感じる店長も、ホンネPOSTをきっかけに指導しやすくなる場面もありました。現場メンバーのモチベーションにも良い影響が出ていると感じています。

C&C府中ぷらりと店巡回時に店長と打合せする様子
―未来の経営・ファンづくりに向けた、ホンネPOST活用の展望を教えてください。
まず、ホンネPOSTを通じて、C&Cには熱量の高いファンが多くいることを改めて実感しました。
今後は、例えば復刻商品の企画投票や、創作カレーの投票など、もっと双方向のコミュニケーションを広げていきたいです。他にも、いわゆる「ファンミーティング」のようなリアルの場も、ぜひ実現したいですね。
それに、コアファンだけでなく全てのお客様の後ろ側にそれぞれのストーリーがあるので、ホンネPOSTで集めた声を生かさない手はないです。「顧客起点」で、何を大切にすべきかを考える──そんな経営ができたらと思っています。
―ありがとうございました。ホンネPOSTが“これまで届きにくかった声”を可視化し、現場と本部、そしてお客様との距離を縮める役割を果たしていることを改めて実感しました。守ってきた価値を大切にしながらも、新しい改善やファンづくりのきっかけとして活用されている姿は、まさに私たちが目指す「顧客の声を起点とした組織づくり」の理想形です。今後さらにファンとのつながりが深まり、より多くのお客様に愛されるブランドへと進化していくことを、とても楽しみにしています。

お読み頂き、ありがとうございました!
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