住民参加型まちづくりの仕掛け:地域の声に寄り添うデジタルレターの双方向コミュニケーション戦略
住民参加型まちづくりの仕掛け:地域の声に寄り添うデジタルレターの双方向コミュニケーション戦略
京浜急行電鉄株式会社様

京浜急行電鉄株式会社(以下、京急電鉄)新しい価値共創室エリアマネジメント推進担当チームでは、沿線各地の活性化や地域交流・滞在拠点整備、MaaS基盤整備、モビリティ基盤整備などの、沿線価値向上のためのエリアマネジメントの推進に関する業務を担っています。
2022年12月、京急電鉄は大田区と「公民連携によるまちづくりの推進に関する基本協定」を締結し、現在大田区の平和島駅周辺でのまちづくりに取り組んでいます。今回、平和島駅周辺にて地域と一体となったまちづくりを進める上で、地域住民の方々の声を吸い上げ、まちに必要な機能や課題の把握、まちづくり人材の発掘の取り組みを行うためにホンネPOSTを導入いただきました。本インタビューでは、導入までの流れや導入後の変化などを、エリアマネジメント推進担当の佐々木さん・北村さんと、価値創造担当の字引さんに直接お伺いしました。

京急電鉄新しい価値共創室
(左から順に)
エリアマネジメント推進担当: 佐々木課長、北村さん
価値創造担当:字引さん
課題・目的 | ・地域住民の声を幅広く集められていなかった |
|---|---|
実証実験の決め手 | ・住民が気軽に声を送れるUI、デザイン性の高さ |
効果 | ・4ヶ月で505件の具体的な声を収集(平均文字数:108文字、最大967文字) |
―ホンネPOSTの導入の経緯、知ったきっかけを教えてください。
神奈川県が推進するオープンイノベーション促進事業「ビジネスアクセラレーターかながわ(BAK)」で、当社プログラムへ応募いただいたのが最初の接点でした。ホンネPOSTはデザイン力の高さとサービスのUIが魅力的だったのと、通常のアンケートのように声を取るだけでなく、アフターコミュニケーション機能で「地域と継続して繋がれる」点も良いなと感じたのが最初の印象です。平和島駅周辺でのまちづくりも本格化する中で地域住民の声の収集・まちづくりへの取り込みにうまく活用できるのではないかと検討を始めました。
―ホンネPOST導入前、沿線まちづくりにおける地域住民の声収集についてどのような課題がありましたか?
主に2つの課題がありました。
一つ目は、地域住民の声を十分に拾えていなかった点です。これまでの取り組みでは主に地域事業者との連携が多かったため、事業者目線のまちに対する課題感や要望は理解していたのですが、地域住民、特に若い方や子育て世帯へのアプローチができておらず、住民目線の声を直接聞く接点がありませんでした。
二つ目は、地域住民の声を聞くにあたって、効率的に広く集める方法や知見が無かったことです。過去に地域交流イベントを主催した際に、無料のアンケートフォームで調査は行っていたのですが、形式的な回答が多く、リアルな声を集めるのに苦戦していました。ホンネPOSTなら、上手く地域住民の声を拾えそうだと期待を感じました。

―ホンネPOSTを導入した決め手を教えてください。
最大の決め手は、LINEをインターフェースにした使いやすいUIとデザイン性の高さでした。まちづくりに関心の薄い若い方にも馴染みやすく、身構えずに気軽に意見を送れる点が魅力的でした。また、匿名のまま双方向コミュニケーションが可能な点も評価しました。他のサービスとしては、LINEのオープンチャットを検討しましたが、統計分析が難しいことなどから見送りとなり、特にそれ以外で有望なツールは思いつかず、他に検討したサービスはありませんでしたね。
-ツールの導入プロセスはどのように進行しましたか?サポートの対応はいかがでしたか?
キックオフから導入開始まで約2ヶ月、導入プロセスは非常にスムーズでした。自治体(大田区)や京急グループ各社との連携においても、取り組み概要・協力依頼の説明にも直接入ってもらって調整サポートもしてもらえたのが良かったです。フライヤーやポスターのデザインも、切符をモチーフにした温かみある仕上がりで、キャッチコピーや文言の調整など、細部にわたって柔軟に対応していただきました。デザインや設問設計など、私たちだけでは思いつかなかったアイデアを提案いただくなど、非常に助かりました。
また、最終的にどのような形で分析結果が見えるのかという部分も、導入前段階から実際のデモ画面を用いて説明してもらえたので、関係者ともイメージを共有しやすかったですね。

💡デザインのこだわり💡 |
|---|
・メインビジュアルは、鉄道の特徴である「切符」のイメージを活かし、平和島のこれからを考える取り組みを「目的地へ行くチケット」に例えデザインしました。「未来の平和島行き」のまちづくりメンバーの一員となるボーディングチケット、というコンセプトでワクワク感を高めています。 |
―ホンネPOSTを導入したことで、どんな結果や気づきが得られましたか?
4ヶ月で505件の声が集まり、平均文字数は108文字、最大967文字、合計54,000文字と、予想以上に具体的で詳細な意見を得ることができました。特に印象的だったのは、ハード面(再開発)の要望だけでなく、ソフト面(エリアマネジメント施策や地域課題)に関する期待や要望の声も多かったことです。また、集まる声の件数もそうですが、一つ一つの内容が非常に濃くクオリティが高いなと感じました。意図的に誘導された回答ではなく、投稿者のリアルな暮らしぶりがダイレクトに伝わってくるというか、個人個人の平和島に対する想いが詰まっているなと。気持ちが直に伝わってくる分、何とかまちづくりに活かしたい、という気持ちに繋がりやすいと感じました。
また、全体の85%の方が「自分もやってみたいプロジェクトがある」「イベントに参加してみたい」「興味関心がある/情報を知りたい」という積極的な声があったのはいい意味で想定外で、今後の住民参加型のプロジェクトにつながる可能性を感じました。

-ホンネPOSTからの気づきをもとに、今後のまちづくりの取組に向けて施策・改善に繋がりそうなことはありましたか?
はい、具体的な改善活動がすでに始まっています。例えば、街の景観改善に関する声が多かったため、駅前に花壇設置の実証実験にすぐ着手しました。
【駅前花壇のプレスはこちら】
https://www.keikyu.co.jp/company/news/2024/20240412HP_24011YM.html

その他にも、交通や子育ての施策にも着手しました。


また、我々が想定していたまちの魅力や課題を、地域住民も同じく感じられているという根拠をホンネPOSTで確認できたこと、更にそこから地域住民目線の細かいニュアンスや背景が見えたことで、より具体的なニーズとして見えるようになり、今後の施策立案がより的確に行えると考えています。
―地域住民の声の可視化は、平和島のエリアマネジメントの取り組みにどのような影響を与えていますか?
大きく2つの影響があります。1つ目は社内での意思決定プロセスの変化です。「地域住民がこう思っているから、この施策を進める」という根拠が明確になり、社内での理解や承認がスムーズになりました。さらに、地域内で小売・商業施設を展開するグループ会社や関連部署とも情報を共有し、施設の運営にも活用していく予定です。
2つ目は、地域との一体感の醸成です。「京急電鉄が一方的ながまちづくりをしている」のではなく、「地域住民の声にもとづいて、一緒にまちづくりを進めている」という認識を広め、タウンミーティング等のリアルイベントへの参加のきっかけを作っていくことで、よりエリアマネジメント活動において、地域との共創活動の土台が築けるようになると期待しています。
ホンネPOSTは、事業者側のダッシュボードや操作画面もシンプルな作りで見やすく、早速投稿してくれた地域住民に対して御礼メッセージなどのアフターコミュニケーションも初めており、内製化が容易な点も良いなと思っています。
―最後に、今後の展望を教えてください。
今後は、収集した声をさらにオープンに共有していきたいと考えています。今回集まった声はポスターやホームページに公開(https://newcal.jp/ota/feature/heiwajima-honnepost)していますが、まちづくりに関わる様々な方もその声が見れるようにすれば、我々と直接関係のない事業者さんも、この声を参考にして平和島駅周辺での新しいプロジェクトを考えられるかもしれません。そうすれば、エリア全体で色んな事業者が取り組むプロジェクトが、同じ方向を向いていくんじゃないかと期待しています。
これからは、収集した声への対応や、継続的な対話の仕組みづくりなど、さらに発展させていきたいですね。住民の声を中心に据えた新しい時代のまちづくりのモデルケースになれればと思っています。

―ありがとうございました。ホンネPOSTとしても今回平和島での取り組みで、住民参加型まちづくりにおける地域とのコミュニケーションツールとしての可能性を大いに感じました。京急電鉄さんの新しいまちづくりでの挑戦が、全国の都市開発や地域活性化のモデルケースとなるように、我々も引き続き全力でご支援させていただきます!

お読み頂き、ありがとうございました!
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