導入事例

スポーツイベントを「熱量」で測る、顧客心理をデータで紐解くスポーツ協賛の新たな指標

スポーツイベントを「熱量」で測る、データで顧客心理を紐解くスポーツ協賛の新たな指標

京王電鉄株式会社様

 京王電鉄株式会社(以下、京王) 沿線価値創造部は、「住んでもらえる、選んでもらえる沿線」のための戦略立案・施策実行を担う部署として、沿線地域の活性化を目的とした生活支援サービスやスポーツ支援、自治体・商工会議所等地域団体との協業など、多岐にわたる業務を担当しています。

 近年、同部ではスポーツコンテンツを通じて地域活性化に貢献するため、スポーツ支援にも力を入れており、その一環として日本国内の女子バスケットボールの最高峰リーグであるWリーグのプレーオフ大会に冠協賛の立場で運営に携わっています。

(京王 Presents Wリーグプレーオフ2023-2024の詳細はこちら。Wリーグプレーオフとは、レギュラーシーズンにおける上位8チームによるトーナメント戦で、Wリーグ年間チャンピオンチームを決定する重要な大会)

 今回、Wリーグプレーオフで来場者の生の声を吸い上げ、満足度などスポーツイベントで数値化しにくい定性面の効果測定を行うためにホンネPOSTを導入いただきました。導入までの流れや導入後の成果などを、沿線価値創造部の皆様に直接お伺いします。

京王電鉄株式会社沿線価値創造部

(左から順に)佐竹さん、細田さん、手賀さん、高橋さん

課題・目的

・協賛効果の定性的な検証が困難だった
・顧客のリアルな声を効果的に収集する方法に悩んでいた

導入の決め手

・形式的なアンケートでは出てこない、ホンネの声を引き出すノウハウ
・高いクリエイティブ力

効果

・開催日(6日間)で606件の具体的な声を収集(平均79文字、最大799文字)
・再訪意欲や初観戦者のファン創出など、定性面の効果測定ができた
・社内外での意思決定プロセスがスムーズになった

協賛効果の測定の難しさと試行錯誤

―ホンネPOSTの導入の経緯、知ったきっかけを教えてください。

 京王電鉄の事業共創プログラム のKEIO AREA OPEN INNOVATION PROGRAM「ROOOT(ルート)に応募いただいたことがきっかけでホンネPOSTの事を知りました。当部も審査メンバーに入っていて、今回のように大規模なスポーツ大会で来場者の生の声を拾うツールとして、マッチしそうだと感じて検討を開始しました。

―ホンネPOST導入前、Wリーグプレーオフの運営及び協賛の取り組みについてどのような課題がありましたか?

 最大の課題は、協賛することによってどういう効果が得られたのか?という検証が難しい点です。沿線にはサッカーやラグビーなどスポーツコンテンツが豊富にあるので、それを活用して地域の経済活動を促進したり、子どもたちの成長機会を提供したりすることで、沿線の方々の豊かな暮らしを支えたいというのが協賛の目的です。

 そのため、地域の商店会と連携したクーポン特典・コラボキャンペーンの展開や、沿線小中学校の観戦招待など、地域活性を狙った施策を打っていましたが、その効果を数値化することが非常に困難でした。社内報告では、来場者数や鉄道運賃収益の貢献などを定量的に算出していましたが、大会を通じた来場者の満足度や再訪意欲、感動や興奮・観戦招待が新たなファン創出に繋がっているのか?など、定性面での効果測定はできていませんでした。アンケートは実施しておらず、顧客の声も聞けていなかったのが実情です。

 コロナ禍で人の移動が減少する中、スポーツは人を動かすきっかけとして非常に重要だと考えています。そのため、今回の結果は単なる報告だけでなく、この取り組みを継続するかどうかを判断する上でも非常に重要な意味を持っていました。従来の定量的な数値だけでは捉えきれない、来場者の生の声を収集し定性的な効果測定を行うことが、我々にとって直近の課題でした。


―ホンネPOSTを導入した決め手を教えてください。

 最も印象的だったのは、自由記述を軸にして来場者に自ら「言いたいことを自由に送ってもらう」という仕組みです。通常のアンケートだと、運営側が「聞きたいことを設問形式で答えてもらう」ものだという認識だったので、来場者に言いたいことを自発的に伝えてもらい、その中から顧客インサイトを導き出すという、従来とは真逆のアプローチは目から鱗でした。その分、形式的なアンケートには出てこない来場者の本音が聞けるのでは?という期待感を持ちました。

 また、グラフィックデザインがオシャレで手に取りたくなるようなフライヤーや、回答率や質を高めるための現場設計の工夫やノウハウなど、細部にまでこだわりを感じました。

-ツールの導入プロセスはどのように進行しましたか?サポートの対応はいかがでしたか?

 丁寧なヒアリングで、課題とゴールをきちんと整理し、最適な設問設計や現場設計の提案をしていただけたのが非常に良かったです。Wリーグ様の協力も得られ、スムーズに導入を進めることができました。フライヤーのデザインも自社ではリソースがない中、手に取りたくなるような素敵なデザインのものを制作してもらえました。

💡デザインのこだわり💡

【表面】シーズンビジュアルのように切り抜きの選手を並べ、躍動感・迫力のあるデザインに仕上げています。

 【裏面】単なるアンケート調査の案内だけではなく、京王電鉄として「スポーツによる移動需要の創出・魅力的なまちづくり」に繋げるためのPRの媒体としても活用できたらと考え、「京王線に乗って、スポーツを楽しもう!」をコンセプトに、ワクワクしながら京王電鉄に乗ってスポーツ観戦(今回はバスケ)に行く様子をイメージで作成しました。テイストは柔らかく仕上げています。

数字では語れなかった価値を、データで示せる新たな可能性

―ホンネPOSTを導入したことで、どんな結果や気づきが得られましたか?

 開催日の6日間で606件の声が集まり、平均文字数は約80文字、最大で799文字、合計48,000文字と、その量と質に驚きました。特に印象的だったのは、回答の熱量の高さです。

 「学校で配布されたチラシから申し込みました。この企画を続けて欲しいです」「京王電鉄のおかげで初めて来て大興奮でした、素敵なきっかけと出会いをありがとうございました!」という声や「これをきっかけにWリーグの試合応援に行きたくなりました」など、来場者ごとの観戦の様子がイメージできたり、感動・興奮が直に伝わってくる内容も多く、当社の取り組みがきっかけで新規ファンの獲得や、リピーターの創出につながっていることが具体的に確認できました。回答の動線には京王電鉄協賛という事はPRしていないので、その中でしっかりと書いていただいた意見は、本心なんだと思います。

 また、私たちが企画したグループ会社とのコラボレーションで、対象商品を買うと選手カードが貰えるキャンペーンを実施しました。正直、参加者がどれだけいるか不安だったのですが「全部回って集めました!」という声もあり、とても嬉しかったですね。

会場の様子

会場の様子_武蔵野の森総合スポーツプラザ@飛田給

―ホンネPOSTを導入したことで、協賛事業の定性面の効果測定は期待通りの成果が出ましたか?

 はい、期待以上の成果が得られたと感じています。ただし、完全なデータ収集には課題が残っているのも事実です。例えば、来場者が試合後にどこに立ち寄ったかなど、地域経済への波及効果に必要な具体的な行動データを取得するのは困難です。これはどのツールや方法を使っても同じ課題がありますが、今回ホンネPOSTに寄せられた声の中で、来場者の消費活動の傾向を垣間見ることができました。今後地元の商工会など多方面と連携しながら、その辺りをどのようにデータ化していくかの検討の足がかりになったと思っています。

 沿線価値という概念は非常に広範で、定量面だけでなく、定性面の両軸で追っていかなければと感じています。数値化がゴールではないですが、数値化できた方が説得力が増しますし、今回ホンネPOSTを通じて、来場者の情緒的価値を見える化できたことは、協賛事業の効果をより多面的に評価できるようになったという意味で大きな成果だと感じています。

合意形成を社内外で加速させる「顧客の生の声」の力

―ホンネPOSTに寄せられた内容をもとに、次年度に向けて施策・改善につながりそうな事はありましたか?

 はい、いくつか具体的な改善点が見えてきました。例えば、入退場や座席案内プロセスの効率化やフード販売の充実化などが一例で挙げられます。実際に私たちも会場で同じようなことを感じていました。運営スタッフはギリギリの体制のため、すぐの対応は今回難しかったのですが、ホンネPOSTの投稿内容はWリーグ様へも共有しており、より良い大会作りに向けた改善の取り組みを一緒にチャレンジしていきたいと思っています。

 ホンネPOSTでは、改善すべき点を細かく書いてもらえる点に加えて、AIを活用した感情分析で、約5万文字もある大量のテキストデータを効率的に分析できるのがとても良かったです。生データに目を通すだけでも大変な中、重要な論点を端的に整理・要約してくれたことで、社内外への報告にかなり有効に活用できました。この分析は自社だけでは対応できなかったと思います。

―VOC可視化は、事業に関わる社内外関係者とのコミュニケーションにどのような影響を与えていますか?

 社内向けには協賛事業の意義を説明する際の根拠となり、来場者の満足度の高さをダイレクトに伝えられた事で、協賛効果についての社内理解の浸透が進みやすくなりました。

 また社外向けには、京王の意見ではなく「顧客の意見」として共有できるので、Wリーグ様とも同じ目線で課題に向き合え、具体的な改善案を一緒に検討できる土台ができたと思っています。「実際来場者からこのような声があったからこうしましょう」という根拠をもとにした合意形成ができるので、次に向けて動き出しのスタートラインが全然違ってきます。

―最後に、鉄道会社のどのようなシーンで、ホンネPOSTが活かせると思いますか?

 沿線まちづくりにおける地域住民の声収集でも有効ですが、鉄道運営におけるVOC収集にも活用できるのではと感じています。鉄道は日常生活のインフラという前提の中で、従来のVOC収集方法(問い合わせ窓口やコールセンター)だとどうしてもクレームに近い声を頂く事が多くなってしまいがちで、現場職員目線では感謝の言葉はなかなか届かず、モチベーションを保つ・上げるということが難しいため、もっとカジュアルな喜びの声が取れたらいいなと思っています。その他、各部署でもイベントやキャンペーンなどの施策を行っているものの、実際の効果はあまり見えにくいところだと思うので、そういうところでも活用できるかなとも思っています。

―ありがとうございました。ホンネPOSTとしても、私も会場で観戦していたのですが、あの現地の熱量と興奮をもっと多くの人に伝えたいと強く感じる中で、数値化しにくいスポーツイベントの情緒的価値の見える化の有用性や可能性を大いに感じました。来年度以降の更なる大会のアップデートをとても楽しみにしています。

お読み頂き、ありがとうございました!
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